台所のダニアレルギー対策

台所のダニアレルギー対策

台所のダニアレルギー対策

台所に保管している保存食品、とくに小麦粉、菓子類、煮干などの乾燥した食品に発生しやすいダニ。アレルギーの原因となるので、しっかりと対策する必要があります。

台所の食品に発生するダニの対策

台所のダニアレルギー対策

台所でダニが検出される場所は、流し台の下の床面、米などの保存食品、食品保管棚、台所の床面などで、検出されるダニ類はマヨイダニ類、ホコリダニ類、ツメダニ類、コナダニ類、チリダニ類です。

以前はニクダニ類が見つかることもありましたが、最近は室内温度を高くして生活する人が多くなったので、ほとんど検出されなくなりました。また、コナダニは元来食品害虫ですが、室内温度が高い分、湿度が低くなっていることが多く、コナダニ類の発生数も少なっています。

それに対して被害が目立ち始めたのがチリダニ類です。特に含水量の低い粉類で繁殖できるコナヒョウダニによる被害です。粉類の中(表面)でも生きていられるため、うっかり口にしてしまうと、食物アレルギーやアナフィラキシー(急激で重大なアレルギー反応)に繋がることもあります。

屋内で見つかるチリダニの生態と特徴

屋内から見つかるチリダニ科ヒョウダニ属は99%がコナヒョウダニ(Dematophagoldes fanrinae)とヤケヒョウダニ(D.pteronyssinus)です。

成長は卵→幼虫→幼虫静止期→第1若虫→第1若虫静止期→第3若虫→第3若虫静止期→成虫(オス、メス)で、形態や生殖器の違いで判別できる。卵から成虫になるのに25℃~26℃で約23日かかります。

繁殖できる温度範囲は10℃~35℃(37℃とも)ですが、コナヒョウダニは低温になると成長にかかる日数が延びます。15.6℃では卵の期間が50~60日になり、約400日後に成虫が出現。環境が変わっても時間をかけて成長してしまうのです。

ダニが繁殖して増加するのを抑えるには、湿度を抑える必要があります。チリダニは乾燥に弱いのです。それぞれ繁殖に必要な湿度がわかっており、それよりも低い湿度を保つことで対策ができます。

コナヒョウダニとヤケヒョウダニが繁殖できる湿度は?

繁殖できる温度は諸説あるが、ヤケヒョウダニは湿度50%RH(25℃)では2週間で死に、55%RHでは1ヶ月以内で全滅し、60%RHでは幼虫の死亡率が高くなることがわかっており、繁殖には60%RH以上は必要であると考えられます。

一方、ヤケヒョウダニは湿度50%RHでは2週間で死に、55%RHでの1ヶ月生存率は約78%(メス)と82%(メス)だが卵の成虫化が約40%程度になり、57%RHでは繁殖できるので生存日数を抑えるためには、(つりフンの量を減らす)50%RH前後に保つ必要があります。

食べ物から発症するダニのアレルギー反応

アレルギー反応には、Ⅰ~Ⅳ型がありますが、Ⅰ型としてアレルギー性鼻炎(湧昇率40%)目アレルギー(一部花粉症を含めて10%)、アレルギー性気管支喘息(5~10%)、アトピー性皮膚炎(5~10%)、食物アレルギー(報告数が少ないが、1~2%程度)、アナフィラキシー(報告数が少ないため不明)で、Ⅳ型としてダニ刺されがあります。

鼻や目は空気にさらされているのでアレルゲンと直接触れる機会が多く、目のかゆみ、喘息や皮膚炎を発症しやすくなります。

それに対して、食物アレルギーやダニによるアナフィラキシー(急激に発症し、生命を脅かすほど重症化する事があるアレルギー反応)は、食品の経口摂取で発症します。

最近、コナヒョウダニによるアナフィラキシーが取り上げられるようになったのは、食品類によるアナフィラキシーと考えられていた疾患の中に、ダニがアレルゲンであるものが含まれていることが判明しました。

今までパンケーキミックス粉のアレルギーと思われていた人が、新品のパンケーキ粉で検査したときに反応がないケースが出てきたのです。その人が何に対してアレルギー反応を起こしていたのかというと、それはつまり、家の中にあったパンケーキ粉に潜んでいたダニがアレルギー(アナフィラキシー)の原因だった、ということになります。

アナフィラキシーを起こしやすい人

アナフィラキシーを起こしやすい人は一般に、

  • 過去にハウスダストアレルギーやアスピリン不耐症(アスピリンによるアレルギー反応増強効果)と言われたことがある人
  • アトピーやアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患がある人
  • 高湿度の住宅内で生活し、台所近くにリビングや寝室がある人
  • パンケーキ粉やお好み焼き粉を使い置きすることが多い場合

という場合が多いです。

呼吸困難、じんま疹や皮膚赤み、かゆみ、下痢、鼻詰まり、動悸、嘔吐、腹痛、目の充血、意識低下などの症状が食後すぐ出たり、5~6時間後に出るとアナフィラキシーの疑いがあります。このような症状がある場合は、無理をせず、油断しないで医師に相談して下さい。

チリダニの発生を抑える予防対策

チリダニ類はタンパク質を好んで接触するので、タンパク質を含んだ食品類は保管に注意しましょう。

よく問題になる粉類は、ミルクや卵を含んだホットケーキ粉、ホタテやエビなどの粉末を含んだお好み焼き粉です。

3銘柄のお好み焼き粉と薄力粉にDfオス10匹とメス10匹を入れて繁殖させると、6週間後には3銘柄のお好み焼き粉で薄力粉よりも繁殖し、1銘柄ではDf数とダニアレルゲン量の両方で優位差が見られた。という実験結果もあります。

粉類の他に、チョコレートなどの菓子類、干し肉や、干し魚(煮干やかつお節)、ドライフルーツ、チーズなどではコナダニ類、ニクダニ類、チリダニ類が繁殖します。

ダニを寄せ付けないための食品管理方法

  • ①封した食品類は冷蔵庫に入れる。←4℃では繁殖できない。 ねじりフタでも捻るの方向に沿って入り込むので、ねじり蓋入りの調味料なども冷蔵庫に入れる。
  • ②市販のオートドライ(箱型で箱内を20%~50%RHに調節出来る。)を利用しても良い。
  • ③3月あれば食品棚の一番高い所(2m以上)に保管した菓子にも侵入してきます。冷蔵庫に入れないようにするためには、早めに使い切ります(1ヶ月以内)。
  • ④開封した食品はビニール袋内に乾燥剤と一緒に入れ、ビニール袋の口を強く結ぶ(紐を結ぶように)。 袋の口を2~3回折って、洗濯ばさみで止めてもダニは入り込んできてしまいます。蓋に凹凸のついたプラスチック容器ビニール袋でもダニは入り込むので、開口部周辺を粘着テープで封じます。
  • ⑤ダニアレルゲンの中には加熱に強い性質のものあるので、注意しましょう。加熱してもアレルゲンが不活化しているとは限りませんので、水で洗い流す場合は、洗い方が十分ならアレルゲンが激減する。ダニアレルゲンは水溶性です。
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