食べ方からわかる食品害虫の種類
被害にあった食品の様子は?
中をくり抜くように食べていたらシバンムシ、外側から食べているならカツオブシムシ、下から食べている場合はゴミムシダマシである可能性が高いです。幼虫の姿からその理由がわかります。
食べ物の被害状況からわかる甲虫類の幼虫の形態的特徴
昆虫の体の形は系統よりも習性を反映するものです。姿かたちを決める上で重要なのは、◯◯科とか△△目のような学問的な分類ではなく、「日陰を好む」「穴を掘って巣を作る」といった日常的にどんな行動をするのかということです。
食べ物に出る害虫の幼虫を見ると、それがよくわかります。
家の建材や書籍、食品の中に潜り込んでそれを食べる習性をもつ種類、外側から食べる種類、影に隠れながら食べる種類の害虫がいますが、これらは学術的な系統のグループ分けは違うのにそれぞれ似た特徴を持っています。
つまり、食べ物が荒らされていたら、たとえ虫の姿が見えなくてもその形跡を見ることで犯人はある程度特定できるということです。
シバンムシ類は食べ物をほじくって中に潜る
シバンムシ類。ヒョウモン虫類、ナガシンクイムシやヒラタキクイムシの仲間、マメゾウムシの仲間、コクゾウムシやヒゲナガゾウムシの仲間はみんな、食べ物の内部に穿孔する(穴をあけること)習性を持っています。
体は黄白色、乳白色でまるまると太っており、体毛は細く、それほど長くなく数も多くありません。脚は短いか、ほとんど退化してしまっており、自由に歩くことが出来ません。
なんだかとても不自由そうに思えますが、そうでもないんです。
なぜかというと、食べ物に囲まれて密着して食べることができるので、歩く必要がないからです。
さらに体の色が白い理由は、食べ物の中に潜り込んでいれば紫外線対策の必要がないからです。
腐葉土の中に住む幼虫たちも同じ理由であのような形をしている、ということになります。
カツオブシムシ科は外から食べる
カツオブシムシ科の大型種の幼虫は食物の表面を外側からかじる習性を持っています。
太陽光(紫外線)を浴びても活動できるように、体の色は茶色や黒や赤など、かなり濃い色合いをしています。
脚は短いですが頑丈にできていて活発に歩き回るのが特徴です。
体もスリムでも、体毛は長くて剛毛で密度が高くなっています。中には身を守るために棘が生えている者もおり、外敵に対して鉄壁の防御ができるように作られているのです。
ゴミムシダマシ科は下に潜って食べる
ゴミムシダマシ科の幼虫は基本的に食べ物を外からかじるタイプです。
食物の表面を這い回るのではなく、下に潜り込んで食べます。そのため、体の色は濃くなく、かといって薄くもない茶色で、体毛はほとんどなくても外側の皮はかなり硬くないっています。
脚は短くて活発に歩き回ることはありませんが、しっかりと移動できます。つまり、シバンムシ型の食べ物に穴を開けて中に潜り込んでしまうタイプと、カツオブシムシ型の外で活発に動き回るタイプの中間のような存在なのです。
中から食べるか、外から食べるか、下から食べるか
害虫の被害にあった食べ物をチェックするとき、どのように食べられたかを見てみましょう。
中を食べられていたら、シバンムシ。
外側(上側)を食べられていたら、カツオブシムシ。
下から食べられていたら、ゴミムシダマシ。
ということになります。