ネズミの種類と縄張りの違い

ネズミの種類と縄張りの違い

ネズミの種類と縄張りの違い

家に出るネズミの種類は主に、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類。それぞれ縄張りが違うので、対策方法も異なります。

ネズミの種類と縄張り

家に出るネズミは主に3種類。ドブネズミクマネズミハツカネズミです。

そして、これら3種類のネズミはそれぞれ住む場所が違います。

住む場所が違うということは、建物に住みつく場所が違うので対策する方法も変わっているということです。

ネズミの種類

日本のネズミは動物学上の分類によると、ネズミ科はネズミ亜科とハタネズミ亜科の2つの亜科に分けられ、ハタネズミ亜科のネズミは体長より尻尾が極端に短いことで区別されます。

ネズミ亜科に属するネズミ

ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ、アカネズミ、サヤネズミ、ヒメネズミなど

ハタネズミ亜科に属するネズミ

ハタネズミ、スミスネズミ、ヤチネズミ、ミカドネズミなど

俗的な分類で4種類に分けられる

ネズミをその生態によって通俗的に分けると、ビルや人家などの内外をすみかとする家ネズミ(住家性ネズミ)と、山林や野原、そして耕地に住む野ネズミに区分されます。

家ネズミはドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類、他のネズミはすべて野ネズミということになります。

ビルに多いドブネズミとクマネズミ

ビルや家屋にすみつき人間を悩ますのが家ネズミです。

イエネズミはドブネズミとクマネズミおよびハツカネズミの3種類ですが、東京や大阪などの大都市では、ハツカネズミはあまり見かけず、ドブネズミとクマネズミの2種をよく見かけます。

しかし、数から見ると、ドブネズミが8割弱でクマネズミが2割強です。

これは動物の世界では弱肉強食で力強いドブネズミが、クマネズミに対して優先的地位にあること、そして都市の下水道の状況やビルの構造がドブネズミの生息に有利だからです。

ドブネズミの生態

ドブネズミの学名は「Ratts norvegicus」です。体系はクマネズミよりやや大きく頭胴長(体長)240mmぐらいでずんぐりし、口は丸みがあり、尾は太く体長よりやや短く200mmぐらい、耳は厚くて小さく20mmぐらいで前方に倒した場合に眼に達せず、足は40mmぐらい、体重は平均300gです。毛は上面褐色で、下面と足の甲が白いのが普通ですが、赤褐色や全身黒色のものもいます。

垂直面の行動力は劣りますが、水中を泳ぐのがうまく、低いところの水辺を好み、横に移動、つまり平面的に移動します。したがって、ドブネズミのなわばりはビルの1階や地下です。厨房のまわりや下水道の割れ目などに巣を作り、食堂や厨房、下水溝、マンホール周り、ゴミ集積所、水洗トイレなどに出没するのです。

ドブネズミは性質が獰猛で、共食いも辞さない強い生命力、そして優れた環境適応性を持ち、マイナス30℃の冷凍庫でも生存し、体重は610gに達するものもいます。

ともかく、ドブネズミは傍若無人、神出鬼没で、憎っくきネズミの代表格。女性が水洗トイレで用をたそうと便器にしゃがんだ途端、排水口から現れてみんなを驚かせるのもこいつです。

クマネズミの生態

クマネズミの学名は「Rattus rattus」です。体長は200mmほどでドブネズミよりもやや小さくほっそりしていて目は丸く大きくて、尾は体長よりも長く、耳が大きくて24mmぐらいあり、前に倒せば眼を覆うのが特徴です。毛色は上面褐色で腹面は黄色をおびているのが普通ですが、全身が黒色を呈するものもいます。

運動能力に優れ、垂直上昇、垂直下降と縦(立体的)に行動し、パイプや電線なども渡るのがうまく、高所の乾いたところを好み、天井裏、壁、はめ板裏、はりなどで生活し、ビルでは上層階を縄張りとします。

警戒心は極めて強いですが、おとなしく、臆病であまり攻撃的ではないため、ドブネズミに圧迫されてきましたが、近年では建物の高層化がすすんでいるため、それに適したクマネズミは増加の傾向にあります。

ハツカネズミがビルに住むようになった理由

ハツカネズミの学名は、「Mus musculus」で、大きさは人間の手のひらに乗るほど小さく、体長75mmほどで、よくドブネズミやクマネズミの幼獣と間違えられます。

尾は体長よりやや短く60mmぐらいで、耳は大きく被毛から大きく露出し、毛色は上面がセピア色(黒い茶色)、身体側は灰色を帯びた褐色で、腹面は白いのが普通で、四肢が細く、きゃしゃな感じがするのが特徴です。さらに、歯は鋭く、尿の臭いがきついです。

ハツカネズミはいわゆる「白ネズミ」の原種で、ドブネズミやクマネズミが英語では「ラット」といわれるのに対して、ハツカネズミは「マウス」と呼ばれ区別されています。

本来、ハツカネズミは屋内、野外に広く生存しますが、ドブネズミやクマネズミに圧迫され続けてきたため、主に農村部のワラを積み上げた中や浅い穴の中などに追いやられててしまいました。

その農家の家屋などでも、ドブネズミやクマネズミがいないことを確かめてからしか侵入してきません。

家屋内では行動範囲も狭く、瓦の間などに巣をつくり、主に寒い時期だけ家屋にすみつくことが多いです。忍び込み、つまり潜伏的に生活をする訳です。

このような習性のハツカネズミが近年ではビルにも住みつくようになりました。その理由は安住の地であった農村部にも開発の波が押し寄せ、農地がつぶされビルや近代的な家屋に変わってしまったからです。この環境変化のため、ハツカネズミは、やむをえずビルに住みつき出したわけで、ビル内ではクマネズミと同じような生活をしています。

そもそもネズミの縄張りとは?

縄張り(なわばり)は動物にとっては生活する上で必要不可欠となる勢力範囲です。ネズミだって社会集団をなして生活しているわけで、それまで親のテリトリーで守られていた子ネズミは、成熟すると新天地を求めて他に移動して、そこで自分たちの食物を確保するために一定のなわばりを設定し、その勢力範囲で巣を作り、安定した生活をするのです。

したがって、自分たちのなわばりにもし他のネズミが侵入すると、身をもって防御し駆逐します。

そして、このなわばりの周囲にはさらに広い行動圏があり、エサを探して徘徊しますが、ここでは他のネズミとの争いはあってもなわばり内ほど激しくはありません。ドブネズミの行動圏は一般に150~200mですが、大都市のようにつねに大量のエサが得られるようなところでは行動権は小さくて済みます。

ネズミは自分のなわばり内に、隠れ家と繁殖のために巣を作りますが、巣の材料として柔らかい紙、ボロ布、綿などを細かくちぎって用います。

そして、特性上、クマネズミは棚板の上やダクトの上、梁(はり)など高所の乾いた場所に、ドブネズミは厨房や下水溝など低い水気の多いところに巣を作ります。

そして、この巣からエサを求めて行動する訳ですが、実は彼らのスカラ餌場に向かい、帰るルート、そして行動範囲や行動時間は一定しています。

例えば、クマネズミはパイプ、ダクト、電線、柱、梁(はり)などを歩き、一定のルートとします。これは本能的に警戒心が強く保守的なネズミが害敵から身を守り、安全に生活するための知恵なのです。

もし、住みついたなわばり内に、普段と違ったものがあったり、何かいつもと違う状態があれば、きわめて警戒的な行動反応を起こします。

例えば、彼らの行動ルートに毒エサを置いても食べませんし、ルートを変更したりします。このような警戒的な行動反応を「異物反応」といいます。

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